ギリシア悲劇にかんする特別講座

このたび、NHK文化センター神戸教室にて、「演劇で楽しむギリシア神話」と題した一日講座を開かせていただくこととなりました。日時は、2019年9月27日(金)13:30~15:00です。悲劇作家アイスキュロスの傑作「オレステイア三部作」で描かれる神話物語を紹介したいと思います。

 いわゆる「ギリシア悲劇」は、神話伝承を題材としたものが大半であるわけですが、そのなかでも、アイスキュロスの「オレステイア三部作」(『アガメムノーン』・『コエーポロイ』・『エウメニデス』)は、とりわけ注目を集めることが多いものです。最近、わが国においても、この翻案である《オレステイア》が新国立劇場で上演され、主演がかの生田斗真さんであったことも手伝い、大きな話題を呼びました。その中身は、簡単にいってしまえば、オレステースという男の家族のなかで起こる、流血をともなう争いとその解決です(「オレステイア」は「オレステースにかんすること」を意味します)。「家族内のいざこざ」というのは、世界各地の神話によくみられるテーマですが、壮絶さの点で、この「オレステイア三部作」を超えるものはなかなかないでしょう。下に、ウィリアム=アドルフ・ブグローの《オレステースの後悔》(1862年、クライスラー美術館)なる絵画を載せてみましたが、これは、第二部の『コエーポロイ』の最終場面にもとづいていると考えられます。母親のクリュタイメーストラー(左上)を殺めてしまったオレステース(中央)が、復讐の女神であるエリーニュエス(右上)から執拗な攻撃を受けています。彼は、もちろん理由なく母殺しを行ったわけではありませんが、自身の当初の「正義」を貫きとおすことができず、錯乱状態に陥ってしまうのです。

 物語それ自体のほかに、演劇ジャンルとしての「ギリシア悲劇」についても、概説するつもりでいます。さまざまな事柄を一度に学べるような講座にしようと思っていますので、ご興味のある方は、ぜひお申し込みのうえ、ご参加ください(手続きの詳細については、下のリンクをご覧いただけますと幸いです)。

つねに多くのことを学びつつ年をとる―勝又泰洋の学問日記―

このサイトでは、学者の卵である私、勝又泰洋が、日々の勉強・研究について(もっぱら自身の備忘のために)簡単な文章をものしています。サイト名の「つねに多くのことを学びつつ年をとる」は、古代ギリシアの政治家ソローンによる詩の一節です。これを座右の銘として、毎日マイペースに学問に励んでいます。

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