2019/9/30の「ギリシア神話入門」

朝日カルチャーセンター中之島教室にて、私が月一で担当している「ギリシア神話入門」の次回の案内です。日時は、2019年9月30日(月)15:30~17:00です(今回は、通常と異なり、第五月曜となっていますので、ご注意ください)。悲劇作家エウリーピデースによる『タウリケーのイーピゲネイア』の紹介をします。この作品でクローズアップされるのは、「アウリス事件」―イーピゲネイアという女性が、父親のアガメムノーンによって女神アルテミスの生贄にされそうになったところ、まさにその女神によって救われる、という事件―のあと、イーピゲネイアの身に起こる出来事です。彼女は、アウリスから遠く離れたタウリケーなる土地で、アルテミス神殿の巫女を務めていたのですが、まことに偶然ながら、生き別れとなっていた弟のオレステースとここで再会することになるのです。いちばんの見どころは、イーピゲネイアが訪問してきたオレステースを「実の弟」として認知する場面です。下に載せた、ピーテル・ラストマンの《祭壇で口論するオレステースとピュラデース》(1614年、アムステルダム国立美術館)がその理解に役立ちます。中央やや左寄りのところに顔を向け合った2人の男がいますが、白い衣を身に着けているのがオレステース、もう片方が彼の親友ピュラデースです。人身御供の対象とされてしまったオレステースが、自身の運命についてピュラデースと話し合っているところ、イーピゲネイア(画面右で目立つように描かれている女性)が姿を現します。彼女は右手に一通の手紙をもっているのですが、じつはこれが、弟の認知のためのキーとなるのです。

 このように、『タウリケーのイーピゲネイア』は非常に緊迫感のある展開をもつ作品です。内容にご興味のある方は、ぜひお申し込みのうえ、ご参加ください。

つねに多くのことを学びつつ年をとる―勝又泰洋の学問日記―

このサイトでは、学者の卵である私、勝又泰洋が、日々の勉強・研究について(もっぱら自身の備忘のために)簡単な文章をものしています。サイト名の「つねに多くのことを学びつつ年をとる」は、古代ギリシアの政治家ソローンによる詩の一節です。これを座右の銘として、毎日マイペースに学問に励んでいます。

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