2019/10/7の「知るほどおもしろギリシア神話」

NHK文化センター梅田教室にて、私が毎月第一月曜に担当している「知るほどおもしろギリシア神話」の次回の案内です。日時は、2019年10月7日(月)10:30~12:00です。このたびのセメスター(2019年10月~2020年3月)では、古代ローマを代表する詩人オウィディウスの『変身物語』を取り上げるつもりですが、その初回である今回は、「変身」とは本作においてそもそもどのような意味をもつのか、という問いについて、大づかみにお話しをしたいと思います。

 オウィディウスは、「新たな体に姿を変えたものどもを語ろうと心が逸ります」(第1巻1行、高橋宏幸訳)という言葉で作品を始めているわけですが、この「変身」というテーマについて考えるにあたっては、本作における最初の変身の物語に目を向けてみるのがよさそうです。その物語とは、リュカーオーンなる男にまつわるもの(第1巻163行以下)なのですが、この人物は、最高神ユッピテルにたいし、この上なく邪悪なある行為におよんだ結果、人間の姿を失い、狼に変身してしまうのです。下に、当該の場面が描かれたヤン・コシエールの《ユッピテルとリュカーオーン》(1638年、プラド美術館)を載せていますが、これをみると、状況がある程度推測できるかもしれません。いずれにせよ、リュカーオーンは、神に反抗したことがきっかけとなって変身をしてしまうわけです。

 詳細はすべて当日にお話しします。ちょうどセメスターの始まりということもあるので、この機会に、オウィディウスの代表作を堪能してみるのはいかがでしょうか。多くの方のご参加をお待ちしています(お申し込みについては、下のリンクをご覧ください)。

つねに多くのことを学びつつ年をとる―勝又泰洋の学問日記―

このサイトでは、学者の卵である私、勝又泰洋が、日々の勉強・研究について(もっぱら自身の備忘のために)簡単な文章をものしています。サイト名の「つねに多くのことを学びつつ年をとる」は、古代ギリシアの政治家ソローンによる詩の一節です。これを座右の銘として、毎日マイペースに学問に励んでいます。

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