僕は、語学エッセイで有名な黒田龍之助氏のファンなのだが、氏の著作に、『外国語の水曜日―学習法としての言語学入門』(現代書館、2000年)というものがある。書名にみえる「外国語の水曜日」は、氏の研究室で毎週水曜日に行われる、学生たちとのカジュアルな外国語の勉強会に由来する表現だ。その具体的な中身については、ぜひ本書の第1章を読んでほしい(出版社紹介ページはhttp://www.gendaishokan.co.jp/goods/ISBN4-7684-6784-9.htmである)。
黒田氏の表現を借りると、僕の今年度の水曜日は、「ラテン語の水曜日」だ。というのも、朝早くひとつの大学でラテン語の授業を行い、直後にその授業の小テストの採点をし、次は予習を済ませたうえで別の大学で夕方にラテン語の授業を行い、帰宅後はその授業の小テストの採点をし、寝る前には両授業の次回の大まかな計画を立てる、という一日を過ごすことになるからだ。まさに「ラテン語漬け」である。
今日はそんな「ラテン語の水曜日」の初回(?)だったのだが、いま、この記事を書きながら、これまで経験したことのないような胸の高鳴りを感じている。2つの大学での授業は、同じラテン語を扱うのでも、それぞれ性質を異にしていて、教授法のさまざまな工夫を楽しむことができそうなのだ。最大の相違点は、参加学生の数で、片方(朝の方)は50人強、もう片方(夕方の方)は15人弱、となっている。両授業をまさか同じスタイルで進めるわけにはいかず、前者はいわゆる「講義形式」、後者は「対少人数インタラクティブ形式」になりそうだ。
いずれの場合でも、目標はただひとつ、学生たちに楽しみながら勉強してもらえるような環境をつくることだ。「ラテン語の水曜日」の仕事は、今年度、最もチャレンジングなもののひとつになるかもしれない。
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