今日は、京都市勧業館(みやこめっせ)で開催中の、「春の古書大即売会」に行ってきた(詳細については下のリンクを参照)。京都に住むようになっておよそ10年が経つが、このイベントには毎年足を運ぶことにしている。開催時期はいつもゴールデンウィークで、今日も、会場は多くの人たちで賑わっていた。
何冊か本を購入したが、とくに嬉しかったのは、J・L・ウェストン『祭祀からロマンスへ』(丸小哲雄訳、叢書・ウニベルシタス、1981年)の、優れた状態のもの(カバー・帯付きの初版で書き込み等なし)が手に入ったことだ。1920年に出版された原著(タイトルはFrom Ritual to Romance)は、アーサー王物語の一部をなす「聖杯伝説」にかんする壮大なテーゼを示したことで有名で、それは、簡単にいってしまえば、「聖杯伝説」の淵源は、ギリシアおよびオリエントの豊穣儀礼に認められる、というものだ。ウェストンは、『金枝篇』のJ・G・フレイザー、および彼の追随者ともいえる「ケンブリッジ・グループ」の学者たち(たとえば、J・E・ハリソンやG・マリー)が強調した、「儀礼第一主義」をヒントにして、この結論にたどりついたらしい(このあたりの学問史的事情については、松村一男『神話学入門』の第四章が詳しい)。僕は、以前、西洋古典学者の柳沼重剛によるギリシア悲劇の起源にかんする論考(下の【参考文献】欄に詳細あり)を読んで、「ギリシア悲劇の起源は儀礼である」と主張する「ケンブリッジ・グループ」に興味をもち、その関係でウェストンの『祭祀からロマンスへ』も気になっていた。今回の買い物に喜んでいるのは、このような事情による。
即売会は、5月5日(日)まで開催している。参加書店によっては、日毎に商品の入れ替えも行っているらしいので、あともう一度くらいは足を運べればと思っている。
【参考文献】
松村一男『神話学入門』講談社学術文庫、2019年。
柳沼重剛「悲劇の起源は祭祀か」『現代思想』1973年8月号(特集=ケレーニイ/新しいギリシア像の発見)所収。
0コメント