今学期ひとつの大学で行っている「現代神話学」は、19世紀後半から20世紀後半までのあいだに出てきた、神話にかんするさまざまな学説を紹介する講義だ。要は「学説史」を扱っているわけだが、学生たちは、耳慣れないヨーロッパ人学者たちの議論について、毎回楽しみながら勉強をしてくれているようだ。
学説の紹介をするときには、そこで取り上げられている神話物語それ自体についても話をすることになるわけだが、その物語のほうにも興味をもってくれる学生が毎回数多くいる。たとえば、19世紀の比較言語学者であるF・M・ミュラーを扱った回では、彼の(いまや悪名高い)「言語疾病説」の話がメインとなる一方、彼が議論の材料として取り上げる、ギリシア神話の「ケパロスとプロクリスの物語」の紹介もした(ミュラーは、ケパロスを「太陽」、プロクリスを「朝露」とみなす)。詳細はたとえばオウィディウス『変身物語』の第7巻で知ることができるが、この物語に初めて接した学生は、これを面白いと思ってくれたようだ。
「(学説も興味深いが)神話の紹介もたくさんしてほしい」という要望が毎回多数あるので、昨日の講義では、(コメントペーパーに書いてもらうという形式で)ある簡単なアンケートをとってみた。質問は、「来年度、私(=勝又)が世界の神話を紹介する講義を開いた場合、受講しようと思うか」そして「世界の神話について、とくに興味のある地域やテーマはあるか」の2つ。結果的には、「ぜひ受講したい」「インド神話/エジプト神話/北欧神話/日本神話etc.について詳しく知りたい」といった回答がたくさんあった。
このアンケートの結果は、神話学の研究をしている僕としてもたいへん嬉しいものなので、来年度は、「世界の神話」といったようなタイトルの講義を開こうかと思っている。具体的にどのようなことを扱うか、これから少しずつ計画していきたい。
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