2019/9/9の「ギリシア神話の世界」

神戸新聞文化センター三宮にて、私が毎月第二月曜に担当している「ギリシア神話の世界」の次回の案内です。日時は、2019年9月9日(月)10:30~12:00です。プルータルコス『英雄伝』でスポットライトが当てられる、カミッルスという名のローマ人についてお話しします。この人物は、ローマの共和政初期の軍人であるわけですが、数ある事績のなかでも、とくに注目に値するのが、強敵であったガリア人を撃退したことでしょう。プルータルコスによれば、王のブレンヌス率いるガリア人たちが、ローマの内部に侵攻し(これはローマ全体の崩壊にもつながりうる、未曽有の大事件でした)、7ヶ月ものあいだ、そこを占拠しつづけたとのことです。一度は、身代金を払うことでローマからの撤退を依頼するつもりであったローマ軍でしたが、カミッルスはこれを良しとせず、「ローマでは、金にはあらで鉄[筆者注:武器のこと]をもって祖国を救うのが、父祖伝来のしきたりである」(柳沼重剛訳『英雄伝1』411頁)とブレンヌスに言い放ち、その後の戦闘に勝利することで、ガリア人をローマから追い出すことに成功します。

 おまけをひとつ。フィレンツェのヴェッキオ宮殿の「謁見の間」に、《カミッルスの物語》という、フランチェスコ・サルヴィアーティによるフレスコ画が飾られています(下に掲載しているのがそれです)。プルータルコスがいうところの「第二のローマ建設者」(ロームルスを「第一」と考えるわけです)としてのカミッルスの活躍の様子が描かれているわけですが、たとえば画面右(中央寄り)には、ひとつの秤をめぐって騒がしくしている男たちが見えます。じつはこれは、上述の身代金のやりとりを視覚化したものなのです。その他のことを含め、詳しくは、当日説明させていただきます。

 以上の内容にご興味のある方は、ぜひお申し込みのうえ、ご参加ください。

つねに多くのことを学びつつ年をとる―勝又泰洋の学問日記―

このサイトでは、学者の卵である私、勝又泰洋が、日々の勉強・研究について(もっぱら自身の備忘のために)簡単な文章をものしています。サイト名の「つねに多くのことを学びつつ年をとる」は、古代ギリシアの政治家ソローンによる詩の一節です。これを座右の銘として、毎日マイペースに学問に励んでいます。

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