批評理論にかんする新刊書

武田悠一『差異を読む―現代批評理論の展開』(彩流社)が間もなく出版されるようだ。同著者による、本書の姉妹編でもある『読むことの可能性―文学理論への招待』(彩流社、2017年)がたいへん勉強になったので、今回の本も手に取るのが楽しみだ。

 出版社HPにはすでに概要および目次が出ている(リンク先を参照)。個人的にとくに気になる章は2つある。ひとつは、ル=グウィンの『闇の左手』をジェンダー論で読み解く章だ。理由は単純で、僕自身がちょうどいまこの作家の『ラーウィーニア』の研究をしており、これも同じくジェンダー論で読むことが可能と考えているためだ。そしてもうひとつは、「エピローグ」のアダプテーション批評にかんする章。というのも、来年度、仕事先の大学で、「アダプテーション批評入門」(仮)の講義を行うことを計画しており、その参考資料にしたいからだ。アダプテーション論については、ここ数年で日本語の関連文献がいくつか現れているので、今回また新たに追加されるのは、僕にとって非常にありがたい。

 追加のコメント。武田氏の『読むことの可能性』は、類書が数あるなか、大学の教科書として使いたくなる本だという印象をもった。今回の『差異を読む』も、これと同種の配慮がなされているようなので、注目していたい。

 ここ数日「年末年始の読書リスト」を頭のなかで作っているが、本書はそのリストの筆頭にあがっている一冊だ。

つねに多くのことを学びつつ年をとる―勝又泰洋の学問日記―

このサイトでは、学者の卵である私、勝又泰洋が、日々の勉強・研究について(もっぱら自身の備忘のために)簡単な文章をものしています。サイト名の「つねに多くのことを学びつつ年をとる」は、古代ギリシアの政治家ソローンによる詩の一節です。これを座右の銘として、毎日マイペースに学問に励んでいます。

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