今日は、「日本一の古本屋街」として知られる、神田の神保町へ行ってきた。学生(より正確には、学部生)のときに足繁く通っていたため、たくさんの思い出がある場所だ。今日の訪問はそのとき以来のことなので、約10年ぶり(!)ということだった。
JR中央線の御茶ノ水駅を下りたときの景色は、当時とまったく同じで、ほんとうに懐かしい気分だった。歩きだして、周囲を見回してみても、景色は学生時代に見たものとほとんど同じで、さまざまな記憶が蘇ってきた。今回の目的はもちろん本探しだったわけだが、あまりの心地よさ(ついでにいうと、好天にも恵まれた)に、「本を一冊も買わなくても、今日のこの経験は素晴らしいものだ」と思ったくらいだ。
ただ、実際のところは、手ぶらで帰ってきたわけではなく、合計10冊ほどの「戦利品」を得られた。たとえば、最初に入ったお店では、オットー・ランクの『英雄誕生の神話』(野田偵訳、人文書院、1986年)―フロイト派の知識人による英雄神話論の名著―を見つけ、価格も安く、新品未読に近い状態だったので、ただちに購入を決めた(「古本あるある」だが、この本は、「謹呈」の短冊が挟まれており、きっと「謹呈」された人からは一度も読まれなかったのだろうと思う)。また、違うお店で購入した、C・G・ユングの『変容の象徴―精神分裂病の前駆症状』(野村美紀子訳、上下2冊、ちくま学芸文庫、1992年)―著者の代表作と呼びうる書―は、最高に近い状態(シミ等ほぼゼロ、カバー・帯・しおり付き、初版)で、ラッキーだったとしかいいようがない。
帰りの東京駅発の電車は、帰宅ラッシュの時間にぶつかったため、「本格的な」満員電車(たとえば阪急電車などでは絶対に経験できないレベルのもの)だったが、バッグのなかに詰められた本のおかげで、終始おだやかな気分でいられた。久しぶりの神保町での古本屋めぐりは、大勝利に終わったといってよいと思う。
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