私も翻訳者の一人として作成に参加した、『古代ギリシャ語語彙集―基本語から歴史/哲学/文学/新約聖書まで』(詳細については、下の出版社の紹介ページをご覧ください)ですが、おかげさまで、2016年3月(改訂版は2016年4月)の刊行以来、じつに多くの方々に利用していただいております。現時点での最新版は、2017年7月付の「改訂版第3刷」ですが、出版社によれば、まもなくこれも完売となり、近く増刷が予定されている、とのことです。本書を購入してくださった皆さま、まずは本当にありがとうございます。
あらためて中身の説明をさせてもらいます。本書は、古代ギリシャ学の本場ドイツで、すでに定評があり、多くの古代ギリシャ語学習者に利用されている、Grund- und Aufbauwortschatz Griechisch (Thomas Meyer und Hermann Steinthal hrsg.)の翻訳です。わが国では、近代語(独語、仏語、伊語など)の「単語集」は多数出版されていますが、古代ギリシャ語のそれについては、じつは、この『古代ギリシャ語語彙集』しか存在していません。それだけでも本書の価値がおわかりいただけるかもしれませんが、たとえこの点を除いたとしても、本書の存在意義がなくなるわけではないと自負しております。最大の特徴は、収録語彙の選定方針およびその配列法にある、といえます。副題からもうかがえるとおり、本書は、大きく「基本語彙」と「分野別語彙」の二部から成っており、前者では、誰もが必ず覚えておくべき語彙(約1300語)が集められており、後者では、「ヘロドトス」「プラトン」「ホメロス」といった題名のもとに、その当該テクストにおける頻出語彙がそれぞれ別々に集められています。というわけで、初学者の方を念頭に置くとすると、まずは基本語彙をおさえて、そのあと興味のある分野の語彙に進む、というスムーズな使い方ができ、また、中級レベル以上の方(=基本語彙はすでに頭に入っている方)は、ヘロドトスやプラトン、あるいはホメロスの語彙だけに集中する、という方法をとることができます。つまり本書は、利用者各人が、自身の興味関心に応じて便利に活用できるような、まことに「融通のきく」体裁をそなえているのです。
新学期スタートの4月ということで、いまいちどPRをさせてもらいました。新しく古代ギリシャ語の勉強を始めた方、あるいは始めようと思っている方が多数いらっしゃるかと思います。語学の基本ともいえる語彙力増強のために、ぜひとも本書をお手にとっていただけると幸いです。
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