2019.03.29 13:58「理論」と西洋古典学今日は、東京大学で開催された、ティム・ホイットマーシュ先生の講演会に参加した(先生と僕の関係については、2019.3.22の記事で取り上げているので、まずはこちらを読んでいただけると幸いである)。ただ、今回は、講演会それ自体のことではなく、そのあとに行われた懇親会のことについて書きたいと思う。 場所は、カウンターのある天ぷら屋だったのだが、オーガナイザーの先生のご配慮で、僕は、ホイットマーシュ先生の隣に座らせてもらった。そのため、この上なく幸運なことに、僕は会のあいだずっと先生とお話をすることができた。とはいえ、もともと先生にはお聞きしたいことが山ほどあった(ちなみに最後にお会いしたのは4年前)ため、実際は、僕の先生への「インタビュー」という形式だった...
2019.03.28 10:53蔵書の整理数日前から神奈川の実家で過ごしているが、今日は、かなりの時間をかけて、蔵書の整理をした。僕の部屋は、長らく「書庫」となってしまっていて、文字通り「足の踏み場もなかった」ので、大規模な整頓作業が必要だったわけだ。諸悪の根源は、(普段過ごしている)京都から、ひとまず不要な本を後先考えずにこちらに送り続けていたことにある。ここ数年、大掃除の時間をつくることができていなかったので、部屋は、京都から届けられた段ボール箱でいっぱいになっていたのだ。 僕自身、どの箱にどの本が入っているか皆目わからない状態だったので、今日の主たる作業は、箱から出した本をジャンルごと(たとえば「文学」「思想・哲学」「文化史」「言語」など)に分ける、というものだった。図書館司書になった気...
2019.03.27 11:38神保町での古本屋めぐり今日は、「日本一の古本屋街」として知られる、神田の神保町へ行ってきた。学生(より正確には、学部生)のときに足繁く通っていたため、たくさんの思い出がある場所だ。今日の訪問はそのとき以来のことなので、約10年ぶり(!)ということだった。 JR中央線の御茶ノ水駅を下りたときの景色は、当時とまったく同じで、ほんとうに懐かしい気分だった。歩きだして、周囲を見回してみても、景色は学生時代に見たものとほとんど同じで、さまざまな記憶が蘇ってきた。今回の目的はもちろん本探しだったわけだが、あまりの心地よさ(ついでにいうと、好天にも恵まれた)に、「本を一冊も買わなくても、今日のこの経験は素晴らしいものだ」と思ったくらいだ。 ただ、実際のところは、手ぶらで帰ってきたわけでは...
2019.03.26 14:17帰省この一週間ほど、関西での仕事が何もないので、神奈川の実家に帰ってきた。大学の新学期が始まる前に、気分をリフレッシュさせることができそうだが、じつは、のんびりしてばかりもいられない。こちらで済ますべきことは、大きく3つある。 一つ目は、もはや「書庫」となってしまった自分の部屋をきれいにすること。関西の家に置ききれなくなった本を(キャパシティのことを考えずに)こちらに送り続けてきたので、大量の本がそこらじゅうに積み重ねられているのだ。整理は大変そうだが、これもひとつの「知的活動」と考えて、楽しみたいと思う。 二つ目は、神田の神保町に足を運んで、古本屋めぐりをすること。普段住んでいる京都にも、古本屋はたくさんあるのだが、やはり神保町の規模にはかなわないと思っ...
2019.03.25 11:24シャトレ座のディードー今日のカルチャーセンター(朝日カルチャーセンター中之島教室)の講座では、ベルリオーズのオペラ、《トロイアーの人々》のDVDをお見せした。用いたのは、2003年のシャトレ座での公演を収録したDVDだ(詳細については下のリンクを参照)。『アエネーイス』における「運命の犠牲者」について話をした関係で、《トロイアーの人々》のなかでも、そのテーマと深くかかわる、ディードー(スーザン・グレアム)の精神錯乱と自殺―原因はもちろんアエネーアース(グレゴリー・クンデ)との破局である―を描いたシーン(全体のクライマックスでもある第5幕第1場~第3場)を取り上げた。 西洋古典学徒として気になるのは、やはり、ディードーの死がどのように表現されるか、という点だ。これについては、...
2019.03.24 13:02「煉獄篇」の面白さ今日は、関西イタリア学研究会の例会に参加してきた。ダンテ『神曲』の研究で有名な慶應義塾大学の藤谷道夫先生が、「煉獄とは何をする場所なのか」という題目でお話をされたのだが、たいへん勉強になった。僕は、『神曲』のなかでも「煉獄篇」にはそれほど馴染みがあったわけではなく、事前にひととおり(日本語訳で)読んだときも、どういった点が重要なのか正直わからなかった。だが、今回の先生のご発表―「煉獄篇」の総合的解説―を聴いて、「煉獄篇」がいかに面白い物語であるのかが理解できた。あの場で学んだことを挙げ出したらきりがなくなってしまうので、以下では、とくに印象に残った事柄を2つだけ記しておくにとどめたい。 一つ目は、煉獄の総督をしている小カトー(第1歌)にかんすること。僕...
2019.03.23 11:42ポータブルDVDプレイヤーの購入大学の授業やカルチャーセンターの講座で、映画や演劇のDVD(内容はもっぱらギリシア神話関連のもの)をよく使う。「使う」というのは、もう少し具体的にいうと、「時間のことを計算に入れたうえで、自身の授業内・講座内の解説とリンクしている場面だけを見せる」ということである。つまり何をいいたいのかといえば、DVDを「使う」ときには、毎回かなり入念に準備をしておかなければならないのだ。行き当たりばったりで特定の部分を見せたとしても、まず時間が中途半端になるのは間違いなく、内容についても、こちらの話と無関係な場面だとしたら、見ている側は混乱するだけである。このような事態を防ぐためには、事前に何度も―それこそ演者の所作や台詞を暗記してしまうくらいまで―DVDを見ておく...
2019.03.22 09:10ティム・ホイットマーシュ先生の講演会3月29日(金)が待ち遠しい。というのも、この日、東京大学で、ケンブリッジ大学のティム・ホイットマーシュ(Tim Whitmarsh)教授による講演会が開かれるからだ(一番下のリンクは、運営サイドによるその案内である)。演題は'The Bastards of Cynosarges and the Invention of Virtue'(「キュノサルゲスの庶子たちと徳の発明」)で、紀元前5世紀の哲学者アンティステネース(いわゆる「犬儒(キュニコス)派」の祖といわれる人物)の思想と、「キュノサルゲス」というアテーナイの複合施設(体育場などがある)の関係性について話がなされるようだ(僕は事前に受け取った講演原稿をすでに読ませてもらったが、事柄の性質上、詳細...
2019.03.21 11:45『イーリアス』を知るための最初の一冊西洋古典学の長い伝統をもつ欧米世界では、ある作家の基本情報を得るための、「コンパニオンcompanion」(こなれた日本語にするならば「~入門」「~の手引き」「~事始め」となるだろう)という書籍カテゴリーが存在する。そういった本を開くと、当該作家を研究するためには必ず押さえておくべきいくつかのテーマが見出しとして掲げられており、その各々の論考は、専門家によって分担執筆がなされている。たとえば、Mark Beck ed., A Companion to Plutarch (Malden, 2014)という本があるが、目次をみると、'Plutarch and Rome'、'Plutarch and the Second Sophistic'、'Plutar...
2019.03.20 10:41『西洋古典学研究』第67号日本西洋古典学会が毎年3月に発行する雑誌『西洋古典学研究』の最新号(第67号)を入手した(学会員の方々の分は、今日、事務局から発送したので、該当する方はお手元に届けられるまでいましばらくお待ちください)。内容が充実しているのはいつもどおりだが、あえて今号の「読みどころ」を挙げるとすれば、それは、昨年の大会のシンポジウム「古代ギリシア・ローマ世界におけるgender equality―理念と現実」に関係する部分(63~106頁)になるだろう。 構成の話を少しだけしておく。核になっているのは、シンポジウム登壇者6名による6つの論考(プラトーン『国家』第5巻を扱う3本と、それ以外のさまざまなテクストを扱う3本)である。哲学2本・歴史学2本・文学2本と、6本の...
2019.03.19 11:40イーディス・ホール教授のプルータルコス論世界的に有名な英国の古典学者イーディス・ホール(Edith Hall)教授は、'Edithorial'というブログサイトを運営している(じつをいうと、僕のこのサイトも、幾分かホール教授のサイトを意識しつつ立ち上げたものである)。今日、久しぶりに覗いてみて、僕にとってはタイムリーな文章が投稿されているのを偶然見つけた(下に該当ページのリンクあり)ので、簡単にメモしておきたい。 投稿日は、2018年12月31日。記事によれば、ちょうどこの日、The Afterlife of Plutarchなる書物が刊行され、これにホール教授も論文を寄せている(ただし共著)そうだ。「僕にとってはタイムリー」と述べたのは、僕も、いままさに、プルータルコス『対比列伝』の受容に...
2019.03.18 08:542019/3/25の「ギリシア神話入門」朝日カルチャーセンター中之島教室にて、私が毎月第四月曜に担当している「ギリシア神話入門」の次回の案内です。日時は、2019年3月25日(月)15:30~17:00です。ウェルギリウス『アエネーイス』における家族像についてお話しします。「家族」というのは、世界の神話に共通するテーマですが、このローマ神話においては、「戦争」という要素ととくに密接にむすびつけられています。『アエネーイス』の後半は、トロイアー軍とイタリア軍の戦争を描きますが、そこでは、戦う者たちとその家族のかかわりあいが幾度も強調されるのです。具体的な内容が気になる方は、ぜひお申し込みのうえ、ご参加ください。